100人のプロの6人目からのエール‼️
今回は今までにない、初の取り組みとなったインタビューでした。
今までは、私たちのことを少なからず知って下さっている方にお願いしてきたインタビューでした。
今回は、何度かお店に伺ってはいましたが…
お名前を存じ上げていない方に突然の形でインタビューをさせて頂きました。
こちらの想いを伝え、趣旨を伝えると快く引き受けて下さり、本当に心から感謝です。
プロの方々は、そういう姿もプロフェッショナルなのだと深く感じます。
本日のエールは、醤油をつくり続けて25年のDさん。
私はDさんのつくるお醤油の「たまり」が大好きです。お刺身にはもちろんのこと、卵かけご飯…いわゆる「TKG」は最高です。
口に入れた時の風味と言いますか…鼻に抜ける香りも楽しめる「たまり」。
そんなお醤油をつくる「醤油のプロ」Dさんから様々なお話を伺うことができました。
◯子どもの頃の夢
サッカー選手だったり、船乗りだったり…
一見、共通点がないようにも思いますが、
「家から出たい」
という思いがあり、家から離れるお仕事が子どもの頃の夢だったのです。
醤油づくりというのは簡単なものではありません。麹の関係だったり樽の関係だったりで「醤油」という形になるまでには少なくとも1〜2年はかかると言われます。そう言ったことから新規事業で進出してくる企業はあまりありません。
まさに、「歴史」が必要となるお仕事ですね。
今回お邪魔したDさんの蔵も江戸時代から続く由緒ある蔵です。
「そんな歴史的なところから出たい!?もったいない!」
と思ってしまいますが、Dさんは
「自分の能力でもないことで評価をされている」
ことに違和感を感じていたみたいです。ご家族からは継いで欲しいということは一言も言われていなかったこともあって、色々な夢を抱けたのかも知れませんねぇ。
◯今の仕事に就いたきっかけ
「世界を見たから」
家業を継ぐ意識は全くなかったので、「船乗り」を志ながらも視力で引っかかり、海つながりで水産関係へと進学していきます。進学先での就職先は食品関係が主流ということで、世界進出しているパンの会社に就職しました。志望理由は「世界」と言うところだったみたいです。
就職すれば、自分のことを知らない人たちと仕事ができ、家業から離れられると考えていました。
Dさんはご謙遜で「運がよかった」とおっしゃいますが、入社してしばらくすると海外への出張が決まりました。
アメリカやタイへの出張です。
アメリカに行った際、現地の方々に「日本」のことを尋ねられたそうですが、日本人であっても日本のことを伝えられるほど日本を知らないと気づきました。
またタイに行った際は、2度食中毒になり入院されたそうです。その時に「日本の味」が恋しくなったとのことでした。
海外に出張したことで、日本の良さを知り、家業が欠かすことのできない重要なお仕事だと気づいていきます。
これらの海外出張がなければ、私たちが「醤油のプロ」としてこのようにお話を伺うこともできなかったでしょうし、Dさんのお醤油屋さんはなかったかもしれません。
何がきっかけになるか!?何がつながっていくのか!?人生は分からないものですね。
実際、日本に戻った時に先代のお父様が家族会議を開き、
「蔵を閉めようと思う」
とおっしゃったそうです。出張のタイミングがずれていたらと思うと…
恐ろしいです。
◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか
「考えたことがないなぁ。分からないです。」
自分自身で選んだお仕事をやり続ける!という気持ちが伝わってきました。
「嫌だ」と思っていた家業を、変えのない誇りあるお仕事と強く思われるようになったことが感慨深かったです。
◯落ち込んだ時、どう乗り切るか
「時間が経つと忘れる。」
会社の主人としてやっていく中で、落ち込んだままいては経営としては成り立たなくなってしまうかも知れません。
時間が経つと忘れていくくらいに、一つ一つを解決していったり、改善していったりしているのだと思いました。
「価値あるものをつくりたい」
そんな風にDさんはおっしゃいます。
「価値あるもの」と言うのは、「高価なもの」という意味ではなく、
「なくちゃならいないもの」
「変えのないもの」
だそうです。「日本食」にはほとんど醤油が使われています。すき焼き、肉じゃが、お刺身などなど。
そうした中で、それぞれの地域によって醤油も異なります。九州では甘口の醤油。関西は薄口。関東では濃口。知多半島では「たまり」を使用している家庭も多くあります。
「たまり」は全体の2%の割合だそうです。その2%の人たちにとって地元の醤油がなくなれば、故郷の味は無くなってしまいます。
2%であってもその人たちの故郷の味を守っていくこと。それを意識されながらお仕事をされていました。
これは「守り」という表現は当てはまりません。
「攻め」という他の領域を侵していくものとも違います。
攻めのようで守っており、守っているようで攻めているそんな絶妙なバランスで醤油づくりと向き合っていらっしゃるDさんは、「落ち込む」ということ自体を意識されていないのかも知れません。
◯発達個性を持った子どもたちへのエール
「難しいねぇ…
かわいっくてねぇ。子どもたち。
…
そのままでいいんだよ。」
インタビューの中で一番の温かい表情で答えてくれました。
◯インタビューをして
ご主人のお母様が最初に対応して下さいました。
私たちの想いを伝えると、すぐにDさんを呼んでくれました。
突然のお願いにも関わらず、嫌な顔一つせずに取り次いで下さり、本当に有り難いです。最初にも書きましたが、そういった姿からも「プロ」の姿は表れてくるのかなぁと思いました。
10分間でのインタビューをお願いしていたのですが、聞く話聞く話全てがドラマチックで、ついつい延長してお話を伺っていました。
その際にも、「気にせずどうぞ」とおっしゃって下さり、これまた有り難かったです。
Dさんは、昔の経験や人脈が今に生きているとおっしゃっていました。昔のことを否定的に表現することはありませんでした。
昔の一つ一つの出来事が今につながり、今の自分をつくっていくのでしょうね。
そして、「今」も未来の自分をつくっていく一つのエッセンスとなっていくわけですから、無駄にはできないないなぁ…と思わせて頂けたお時間でした。
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