100人のプロの35人目のプロ‼️
子どもたちと薔薇を育てています。
一人一鉢。
それぞれが思い描く色の薔薇をそれぞれが選び、気持ちを込めて育てています。
育てる際、自分たちで植木鉢をつくりました。
思い思いの植木鉢。
地域の特色を活かして常滑の粘土を使い、薔薇のために一生懸命こねてつくります。
しかし…粘土は手に入るのですが、焼き上げるための窯がなかなかありません。
調べていたつもりで、いざ問い合わせてみると…
一般には開放していないとのことでした。
…
しかし、ひょんな所から助け舟が。
様々な方たちのご協力で、関係する方々と繋いで頂きました。
その結果、常滑焼きをやられている代表的な方がご厚意で焼いて下さることに。
そのことを子どもたちに伝えると…みんな喜び、感謝の気持ちでいっぱいになっていました。
子どもたちが
「この感謝をちゃんと恩返ししていきたい。感謝の輪をつなげていきたい」
おばあちゃん子や、おじいちゃん子の子どもたちが言いました。
その後…
「自分たちが育ててる薔薇をお見せしたい」
そんな企画が立ち上がり…
老人ホームを探しました。
インターネットを使い、SNSを活用し…
すると…
「夢叶え隊」
と称して入居者の方々の生活をサポートされている施設のページを見つけました。
私の
「お世話する」
というイメージは覆されます。
そちらでのこだわりは、本当の意味での
「生活」
でした。
生きることに活力を見出す取り組み。
やりたいことを諦めていくのではなく、生きることを楽しむ取り組み。
まさに「介護」のプロ。
本日は「介護のプロ」Iさんにお話を伺います。
◯子どもの頃の夢
「調理師」
親御さんが料理を得意とされていたみたいで、
「手作りっていいな」
と感じていたそうです。
Iさん自身は料理が「得意」ではなかったのですが、美味しいものを食べた人たちの幸せそうな表情を見ることが好きとのことで。
人に喜んでもらえることが昔から好きだったようです。
◯今の仕事に就いたきっかけ
「富山でのお客さん」
大学は経済学部を専攻しました。
「これについて学びたい」
と言う強い志があった訳ではありません。
ただ大学で…
自分が何をしていきたいのか!?
何に向いているのか!?
それに気づくことができるかもしれない。
そんな思いがあったまま時は過ぎ…
就職活動のシーズンに。
世の中は「就職氷河期」と言われ、企業に内定をもらうこともやっとの時代。
何をしたいのか!?
ではなく、
どこに就職できるのか!?
…
20〜30社受けてもなかなか内定通知が来ません。
それだけ受けても、願った結果ではない状態が続と…徐々に自信をなくしていってしまいます。
本来の持ち味や長所も
「違うよ」
と言われているかのようで。
Iさんとお話ししていると、とっても心穏やかになり、
「うまく表現しなきゃ」と焦らずにいられます。
「要件を分かりやすく伝えなきゃ」と慌てずにいられます。
今の時代
「で。要するに?」
と言わんばかりのコミュニケーション。
インターネットが快適につながるようになったせいか、人との会話にも「効率」を求める風潮すらあります。
そういう方とのメールのような会話には味がなく、面白みがありません。
だからこそ、Iさんの温かな話し方は、より温もりを感じます。
やっとの思いで就職が決まりました。
富山県のある着物屋さん。
着物屋さんでは、Iさんの持ち味が発揮されます。
温かな会話は、ご高齢の方にとって癒しの場となっていきました。
ある時…
Iさんとすっかり話し込んだお婆さんは気にして
「お兄さんの所で着物を買おうかしら」
となりました。
社員としてノルマも厳しく言われていたので、喜ばしい話です。
しかし後日、
「高いものを売りつけて!」
お婆さんのご家族からのクレームが入りました。
それと同時に上司からは「もっと売れ!」との注意が入ります。
しかし…
「買ってあげられなくてごめんね」
「今日は買えないから、これ食べて」
熱心に薦めれば薦めるほど、そう言うお客さんたちの優しさに苦しみを味わいます。
「自分は何がしたいのだろう」
自問自答の繰り返し。
考えます。
考えて、考えて…
「退職」を選択をしました。
全力で「目の前の人のために」ができる職業へ。
全力で目の前の人の「喜びのために」ができる職業へ。
Iさんにとってそれは「介護職」でした。
「命を預かる」
という責任感は、一から学ぶための学校へと通わせる原動力となりました。
介護職に勤めて約17年。
今では施設長です。
私がSNSで見た、夢を叶えるための取り組みは前施設長が企画したもので、今も継続して取り組まれています。
IさんはIさんで入所者さんの笑顔の場をより増やすための企画を立ち上げ、取り組まれています。
皆さんの「笑顔」のために、Iさんたちは全力です。
私のイメージする老人ホームは、一日一日をベットの上で過ごし、たまに行事になったら参加する…そういう生活スタイルのものでした。
それは、転けないために。
危なくないために。
危険を少なくするために。
…
しかしIさんは
「ここに入ってきたから『できない』ではなく、
生活を楽しめるように。
ここは『病院』ではないのですから。
ただ一日を終えるのではなく、
一生を楽しむ場所であって欲しい。」
そんな想いを込め、「やらない」と「やれない」をしっかり区別しています。
ご自分のご両親がいつか入所する時、自信をもって、安心して入所を薦められるような世の中になって欲しい。
そんな願いも込めて。
日本の未来が明るく感じられた瞬間でした。
◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか
「今の仕事かなぁ…
この仕事が好きです。
自分を必要としてくれる人たちがいる。
感謝の気持ちで働かせてもらっている」
Iさんは「働かせてもらっている」と表現します。
介護を「してあげる」と言う施しの気持ちより、相手が喜ぶことをしてあげられる喜び。
それを実感しています。
同時に戦後の大変だった頃の日本を、経済大国へと復活させてくれた人たちが入所しています。
その方たちにする支援や援助には「感謝」の気持ちが自然と入るそうです。
考えて、考えた末に見つけ出したお仕事は、「仕事」と表現するだけでは物足りないものになっていたのかもしれません。
◯落ち込んだ時、どう乗り切るか
「今日はこう言う日だったんだ」
落ちるまで落ち込むIさん。
入所者さんの死とも触れ合うことがあります。
気持ち込めて接してきた分、心通わせた分、「別れ」と言うものはとても辛いもの。
「何もしたくない」
「喪に服したい」
そんな思いに駆られます。
「ああしてあげられれば…」
「こうしてあげられれば…」
そんな後悔とも言うべき事柄が浮かんできます。
でも…
次の方が待っています。
その「後悔」を次の人には抱かないために、また
「何ができるかな」
と考え、悩みます。
悩むことは悪いことではありません。
真剣に向き合っている証。
逃げていない証。
常に最善を尽くすIさんの優しさは、同時に「強さ」でもありました。
◯発達個性を持った子どもたちへのエール
「自分一人でできることは限られている。
できないことは周りとカバーし合ってできたらいい。
人にできないと言われても最終的には自分で判断すればいい。
自分に蓋をしないで欲しい」
教育実習にいく前の週の私の出来事。
大学の先生に
「君みたいな生徒がよく学校の先生を目指しているね」
と言われたことがあります。
先生の機嫌が悪かったのでしょうか…
信頼していた先生なだけにショックな言葉でした。
もし私が、他人の言葉によって教師の道を諦めていたら、今の私はありません。
向いているのか!?
向いていないのか!?
できるのか!?
できないのか!?
それは自分で決めること。
何事も自分で挑戦しなければ、
できるのか!?
できないのか!?
は分かりません。
Iさんのエールのように。
自分に蓋をしないで下さい。
自分で判断できるまでぜひ!
挑戦してみてください。
◯インタビューをして
介護のプロの方にインタビューさせて頂くことを生徒たちに話しました。
すると、咲いていたバラを切って
「これをもし良ければ持っていって下さい」
笑顔で話してくれました。
その子のバラだけでは少ないので、他の植木からも数本とって持って行きます。
「喜んで下さるといいなぁ」
自然と「誰かのために」と思ってする行動は心が温かくなります。
まだ見ぬ方々の笑顔を思い浮かべながら。
Iさんに
「もしよろしければ」
と言って渡しました。
インタビューが終わった後、Iさんから
「もし良ければ、直接渡してもらってもいいですか?
その方が生徒さんたちも、おばあちゃんたちも喜ぶんじゃないかなぁ」
ただでさえお忙しいにも関わらず、バラを渡したがっていた生徒たちへの配慮をしてくれました。
コロナ禍ということもあって一人のお婆さまが代表で来て下さいました。
満面な笑みで受け取って下さったその笑みにつられ、私も笑顔になっていました。
ふと目線をよそにやると、その場にいた方々全員が素敵な表情でお婆さまを見つめていました。
と〜ってもあったかくて、穏やかな空気。
お婆さまがご自分の昔についてお話して下さいます。
そのお話でまた皆が和みます。
しているつもりで、して頂いている。
あんなに喜んで下さったことが私の喜びになり、子どもたちのエネルギーに。
笑顔にして頂いたのは私たちでした。
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