100人のプロの73人目のプロ‼️

学校で鉛筆も取らずに寝ている子に、あるノートを手渡すと勉強好きの子に。

そんな魔法のようなノートが、“mahoraノート”。



授業中、ノートを開かない子どもたちに先生は注意をします。

何度注意をされても、ノートを開かない子や、開いても書こうとしない子。

そんな子どもたちを学校では

「注意を聞かない子」

「勉強ができない子」

などとレッテルを貼ります。

字の形が整わず、読みづらい字を書く子どもがいます。

その子たちに学校では

「字を丁寧に書きなさい」

「こんな字では読めません」

などと、皆の前で注意をします。


2022年度の小中高生の自殺率は過去最多を記録。

今年も依然として高いままであることが予想されています。

自殺の理由は「学業不振」が最も多く、次いで「進路に関する悩み(入試以外)」でした。

どんな子も、

“勉強はできなくてもいい!”

そんなふうに初めから思ってなんかいません。

できれば、テストでいい点数をとって家族に自慢したいですし、堂々と字を書きたい。

「勉強したって」

「丁寧に字を書いたって」

自分に対して自然と諦めるようになってしまったのは、いつからなのでしょうか…。

もっと真摯に子どもたちと向き合えば、救えたかもしれない命。

失われて初めて気づく、子どもたちの苦悩。

「気にしなくていい」

という学校からの安易な言葉はまるで“期待されていない”ことを知らせる通知かのように。

“どうせ”

“どうせ…”


ノートを開かないことはその子のせいなのか!?

字が整わないことは養育のせいなのか!?

そのことに向き合ってくださったのは“mahoraノート”を開発した大栗さんご夫妻です。

「一人でも書きづらいと感じているのなら、改善していきたい」

「ノートづくりのプロ」大栗さんが、そんなふうに話してくださいました。


◯子どもの頃の夢

「プロ野球選手」「電車の運転手」


小学校の頃は帰ってきたら、みんなで草野球。

憧れの気持ちから、「プロの選手になれたら」と思っていました。

一方で、電車の運転手にも憧れます。

夏とお正月には家族旅行に行っていたこともあって、電車の時刻表を見るのが好きだったそうです。

時刻表を見て、

「何時の電車に乗って、どこで乗り換えて…」

頭の中で想像します。

実際に行くわけではなくても、想像しているだけでその場所に行った気持ちにさせてくれます。


◯今の仕事に就いたきっかけ

「継ぐなら今しかない」


昭和5年、お祖父様が紙を加工する紙工会社を創設します。

戦後の復興で、会社は上向き。

しかし、大手文具メーカーの下請けだったこともあって、好景気であっても成長には限界がありました。

もともとは帳簿をつくっていた会社でしたが、時代の流れとともにノートづくりの会社に。

工場と住居は一緒だったため、働いていらっしゃる方は家族のような存在でした。


大学卒業後は、ご実家の会社に発注している大手文具メーカーに就職します。

面接の際、面接官に

「すぐに継いでやめるんとちゃうか?」

と尋ねられます。

大栗さんはご実家を継いでいく気持ちが全くなかったので

「違います」

とすぐに答えます。

そもそも、自分が跡を継いでいけるとも思っていませんでした。


入社して10年。

その間に結婚をし、仕事も順調。

公私共に充実していました。

しかし、節目の10年。

入社以来ずっとお世話になっていた上司の方が、大栗さんのお父様に

「継ぐなら今しかないで。」

そんな声かけをしてくれていました。

任されていく仕事が増えていく中で、責任ある立場になってきている状況を判断しての言葉。

大栗さんのご両親は、その言葉を受け流すことはできませんでした。

「帰っておいで」

という思いを言葉にはしないご両親の願い。

昔から家族のように過ごしてきた従業員の方々の思い。

様々な人たちの心は、大栗さんの“継ぐ決意”へと導きます。

奥様には、決意後に報告を。

驚いてはいましたが、反対はしません。

そんな奥様の姿が、大栗さんの力になっていきます。


従業員だった立場から事業主へと変わり、家業を支えていきます。

大手文具メーカーから依頼された冊数のノートを生産。

時には冗談で

「他にお願いしようかな」

なんて言うメーカーの方もいました。

笑えるようで笑えない冗談。

聞く立場で、捉え方がまるで変わってしまう冗談。

落ち込んでいる場合ではありません。

自ら商品をつくればいいのです。

メーカーに左右されず、大切なものをしっかりとつくり続けられる自社製品を。

とはいえど、簡単なことではありません。

自社製品を作るために紙を発注する単位は、ノートにすると20〜30万冊。

金額にすると200〜300万円。

大栗さんの工場では1日に10万冊つくっているので、ノートは2〜3日でつくれます。

しかし問題は、資金だけではなく、できたノート30万冊の置き場所。

売れていくものでなければ、いつまでも場所を取ってしまい、時間が経てば劣化していってしまいます。

思いは強くても、自社製品へのハードルは大きなものでした。


一方で、思いは行動に移していかなければ、いざという時にチャンスを逃してしまいます。

自社商品ができてからどうするのか!?

ではなく、自社商品ができた後のことを考え、奥様は積極的に勉強会やセミナーに参加していました。

そんな中、あるセミナーで講師の方と名刺交換をします。

「ノートの製作をしています大栗です」

その言葉に講師の方が反応します。

「ノート!

私が知っている施設でね、発達障害の方がノートが使いにくくて困っているって話を聞いたことがあるんですよ」

一生懸命につくってきたノートに、不自由さを感じている方がいるという事実に驚きます。

すぐにご主人である大栗さんに伝えます。

大栗さんも今まで気づいていなかった事実に驚かされます。

早速、大栗さんも交えた講師の方との話し合いの場が設けられていきました。

お話を伺い、

“改善できることがあれば改善していきたい!”

そう感じたそうです。

すぐに施設へ訪問することになりました。


“ノートは白ければ白いほど価値がある”


良いと思っていたことは、別の人からすると苦痛に感じるものになっていたことに気づかされます。

白い紙は眩しく感じるそうです。

ノート上方にある日付を書く箇所は、気になって集中しづらかった人もいるそうです。

印刷された横線の罫線が薄すぎて、書いているうちに行がわからなくなってしまう方も。

皆が意識していなかった使いづらさを、施設の方たちは意識化し言語化し伝えてくださいます。

言われれば共感することばかり。

「そう?」と言ってみるものの、それらを配慮されたときに感じる心地よさ。

試作を重ねていきます。

ノートづくりのノウハウには自信があるものの、企画することは初めて。

もっとソフトを使えば簡単に見本が作成できるのかもしれませんが、全て手探りで進めていきます。

専用のソフトがなくても、それに代わるもので代用していきます。

会社一丸となって。


「自社製品をつくる!」

と掲げていた目標は、いつしか

「見づらく感じている人たちが、少しでも使いやすいノートを!」

そんな思いを中心に。

段落の広さを数ミリ単位で調整していきます。

横線の罫線の太さも一つ一つ調整していきます。

何度も何度も。

試作をつくっては試してもらい、そこから感じた要望を取り入れていきます。

奥様がセミナーに行き、ノートの不自由さを知ってから約8ヶ月。

施設の方たちのお陰で2020年2月27日にようやくノートが誕生します。

企画も初めて、試作も初めて、何もかもが挑戦の連続だった“mahoraノート”。


売り上げとして期待できるのか!?と外部から指摘がありました。

売れるか!?

売れないか!?

ではないんです。

もちろんボランティアではなく、利益を生み出さなくてはいけません。

売れた方が嬉しいに決まっています。

でもその前に、大切なものがあります。



「一人でも使いづらいと感じているのなら、誰もが使いやすいと思ってもらえるノートをつくりたい」

これは大栗さんの言葉。

そして奥様の想いなんです。


◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか

「科学者」


科学者になって色々なものをつくってみたいとおっしゃる大栗さん。

昔から理系科目が苦手だったそうです。

今回、mahoraノートを製作する際にパソコンを使いました。

得意でない分野であっても、やるしかないからやれるようにやっていきます。

原動力は

「人に喜んでもらいたい」

その思いです。

大栗さんのお人柄が伝わってきます。


◯落ち込んだ時、どう乗り切るか

「自分のできることをやっていく」


できないことにぶつかることもあります。

しかし、そのできないこと一つで、全てをゼロにしていては、もったいない。

自分のできることは、必ずあるのですから。

また、できる人に出会うことで、できないことを補ってもらえるかもしれません。

同時に、いつだって自分の存在が誰かを補うことのできる人材でもあります。

いつの時でも自分の力を発揮できるように。

だから、自分のできることは確実にやっていく。


◯未来ある子どもたちへのエール

「大きなことを成し遂げたくても急にはできない。

 一日、一日の積み重ねが形になってくる。

 大変なこともあると思うけど、努力を積み重ねて、正直にしていれば、

 応援してくれる人が必ず出てくる。」


大栗さんはこの“mahoraノート”を一人でも多くの方に届けられるよう、寄付のプロジェクトをしてくださっています。

宣伝することなく、押し売りすることなく、純粋に届けようとしてくださっています。

買いたくてもさまざまな事情で買えない子どもたち。

そんな子どもたちに

「プレゼントしてくださったよ」

と言って渡します。

自然と溢れる笑みを浮かべ、大事そうに受け取ります。

「なんの教科で使うの?」

と尋ねると、笑みを浮かべたまましばらく考え込みます。

嬉しそうに、まずは自分の名前を丁寧に書き記します。


忘れないでほしい。

どんな時代になろうとも、あなたを大切に想っている人がいます。

会ったことも、話したこともない人が、あなたのためにノートをプレゼントしたいと思ってくれています。

大栗さんはあなたたちを応援してくれています。


◯インタビューをして

生徒が、字を片手で隠すように書きます。

恥ずかしい。

見られたくない。

そんな気持ちなんだろうと思い、特にそのことに触れたことはありませんでした。

大栗さんから

「もしよければ…」

と、頂いていた試し書きのためのmahoraノートをその子に渡すと、隠してた手は紙の上ではなく紙の外まで離れていました。

隠すことなく書いている様子に驚くと、無意識だったその子も驚きます。


書くことがままならない別の子。

書くことにコンプレックスがあり、書くことを避けていました。

学校側も、配慮としてタブレットをメモとして使うように指示し、ノート提出を免除していました。

同じように試し書きのノートを渡します。

しばらく書いてその子が言います。

「先生!手が疲れません!」

字をキレイに書けるようになりたかったのだと、後で話してくれました。


ある特別支援学級の先生に同じようにノートの話をします。

すると、その先生は

「うちの子どもたちは、ノート取れないからプリントでやっているので大丈夫です」

そんな言葉が返ってきます。


学校が子どもたちの学ぶ機会を奪ってはいけない。

学校にいる私たちがまず、子どもたちの未来を奪ってはいけない。

学校が子どもたちに気づくよりも、ノートの会社が私たち以上に子どもたちと向き合ってくださっています。


失う前に気づきたい。

気づかせたい。

子どもたちの可能性を。


心の筋トレ部

教員であり公認心理師である片野とさとぶーが「心の筋トレ」を実務で実践させていただいています✨皆さんの自己免疫力💪を上げ‼️予病に貢献できるよう、情報発信していきます✨

0コメント

  • 1000 / 1000