100人のプロの78人目のプロ‼️

“魔がさす”


「心の中に悪魔が入ったように、ふと悪い考えを起こすこと」


ドラマの中で登場人物が悪事を働き、その理由を尋ねられた時、

「魔がさしてしまったんです」

と言っているシーンを見たことがあります。

子どもたちから聞こえてくる言葉の中にも、

「私だけじゃないんです」

「みんながやっていたから」

そんなものがありました。


“魔がさした”出来事を隠そうと取り繕ったり、うやむやにしたり、相手に気づかれないよう話を逸らしたり…

まさに

誤“ 魔 ”化す行為。

この行為にも“魔”という字が。


気づかないうちに、知らず知らず“魔”を引き寄せてしまう負の連鎖。

誤魔化す必要のないことを誤魔化し続けてしまうのは、心の中にできた隙間に魔が入り込んでしまっているからなのか…

それならば、魔を寄せ付けない、いわゆる“結界”を身につけたいもの。

そんな魔を寄せ付けない方法として「御幣(ごへい)のプロ」森安さんは、こんな風に言ってくださいました。

「笑って跳ね除(の)けたらいい」

皆さんは、ちゃんと“笑って”いますか?


御幣とは、神様への捧げ物として使用されていました。

歴史は古墳時代まで遡り、形を変えながら今もなお、御幣の文化は続いています。

森安さんの住んでいらっしゃる高知県香美市の物部町(もののべちょう)はまさに「御幣の里」と呼ばれる場所。

物部町の起源も平安時代より前と言われています。

源平合戦で危機を逃れた安徳天皇が定住した地として伝説が残り、未だ研究者によって研究が進められている神秘な場所。


森安さんにじっくりお話を伺います。


◯子どもの頃の夢

「全然なかった」


川で鰻や魚を獲り、山では鳥を捕まえに。

お家は農家だったので、そのお手伝いもしていました。

自然を相手に、常に効率を考えさせられていました。

近所の友人たちと遊ぶ時は、目一杯に体を動かします。

幼少期はとにかく遊んでばかり。

勉強したことはなかったですし、「しなさい」と言われたこともありません。

そのかわり、山や川や動物たちが、森安さんに沢山のことを授けてくれました。


今は悩まなくても、考えなくても、掌(てのひら)の中にある小さな機械が、何でも教えてくれます。

それは同時に、じっくり考える機会を失っているということなのかもしれません。


◯今の仕事に就いたきっかけ

「おじいさんが夢に出てきた」


中学を卒業したら、林業を営む山師として京都に出稼ぎに行きます。

そこでは京都の人たちよりも大事にされていた森安さん。

理由は、仕事量にあります。

京都の人たちが草を刈るのに、1日で1反(300坪)。

森安さんは、同じ1日で4〜5反刈っていきます。

体力の問題ではありません。

“どうすれば身体が疲れずに、より多くの草を刈れるのか!?”

自然を相手に効率を考え、工夫をしていたからです。

まさに、子どもの頃の経験が生きます。

草を刈る時は、刈る刃を研ぎます。

木を切る時は、切る刃を研ぎます。

全て同じ刃として、同じように研ぐのではなく、どんな風に使っていきたいか、どう動かすかを考えながら、アレンジしていきます。


私は以前、森安さんに御幣切り体験をさせていただいたことがあります。

その際に使わせていただいた紙を切るナイフ…

今まで使ったことがないほどに使いやすかった。

紙がずれることなく、キレイに、真っ直ぐに切れます。

仕事にかかる前段階の準備が、仕事のスピードを変えるのだと気づかされます。

ある日のこと。

山師の仕事も20年以上の月日が経ったくらいの日のことです。

夢に、亡くなったお祖父様が出てきました。

お祖父様は囲炉裏の前で、祭文(さいもん)帳を持ってニコニコ。

それだけの夢。

何か話したわけではありません。

お祖父様は、太夫(たゆう)をやっていらっしゃいました。

神社仏閣の神主さんや宮司さんとは違って、宗派や神社に所属するのではなく、地元の慣わしを昔ながらの方法で守っていく方を、物部町では“太夫”といいます。

収穫への感謝や、ご先祖様への供養などは太夫が行っています。

そのお祖父様が持っていた祭文は、太夫がお祭りで神様に読み上げる言葉のこと。

「不思議な夢だった」

そんな風に感じながら数日後。

またお祖父様が夢に出てきます。

同じ場所の囲炉裏の前に座っています。

今度は太夫が使用する笏(しゃく)を持っていました。

今回も何か自分に言葉として訴えているわけではありません。

でも、続けてお祖父様が夢に出てきてくれたことを、何事もなかったかのように過ごしたくはありませんでした。

何かの思いを受け取ろうとした時、お祖父様から


「太夫をせえ」


そんな風に言われている気がしたそうです。

しかし、太夫は簡単になれるものではありません。

難しい祭文は9つもあり、それを全て覚えなくてはいけません。

祭文の教科書本はありません。

昔から続く伝統です。

師匠から弟子に。

弟子からそのまた弟子に。

代々言葉で伝えられるものです。

師匠の言葉を聞き取り、それを耳で記憶していかなくてはいけません。

そして物部町の太夫といえば御幣。

御幣の種類は200種類以上。

お願い事ごとに御幣は形を変えます。

それにただ夢をみたからといって、すぐに京都から戻ってくることはできません。

しかし…

そういう環境に、そんな状況に、一つ一つが合わさっていきます。

それはなるべくしてなっているのか。

自分がそのタイミングに合わせにいっているのか。

偶然なのか、必然なのか。


森安さんは故郷である物部町に帰ることになります。

それはご自身のご病気がきっかけでした。

ちょうど山師としての仕事も落ちつき始めたのも重なり、地元に帰ります。


耳で記憶していかなければいけない祭文。

困難さを極めた太夫の世界に、歩み進める気持ちにはなれません。

そんな世界を変えたいと行動していた太夫の方もいらっしゃいました。

ご自分で祭文を文字に書き起こし、祭文のテキストをつくった方。

大変なこと。

でもその方の強い意志が、今までやられてこなかったことを実現させます。

その太夫の方は森安さんに声をかけます。

「太夫やらんか」

森安さんの太夫の始まりです。


◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか

「あんまりない」


今の太夫のお仕事も、早く弟子に引き継いでいきたいとおっしゃいます。

全国各地から、森安さんに教えてもらいたくて弟子入りにきます。

その中でも、金銭を中心に考えているのかどうかはすぐにわかるそう。

やはり弟子に求めることは、 心 です。


◯落ち込んだ時、どう乗り切るか

「祈ったらほとんど落ち込まない」


何か起きた時、これが誰かの仕業であると思うと、憎しみの心が生まれます。

疑心暗鬼になって、よくない心になっていると、よりネガティブな目線で世の中を見るようになります。


以前、森安さんは法要を頼まれ伺った時の話です。

熱心に、真剣に取り組まれ、充足感の状態で家に帰ります。

しかしお布施(代金)をもらってなかったことに気づきます。

“ついうっかり”

わざわざ取りに戻るのか。

それとも届けるよう知らせるのか。

様々な方法がありますが…

森安さんは、そのままにしました。


「きっと神様は“そのままがいい”と思っていらっしゃる」


そう思うと、心は穏やかに。

「神様がそう思っていらっしゃるならしょうがない」

そんなふうに自然と笑い話になっていきます。


◯未来ある子どもたちへのエール

「悪魔が恐ろしいんは、“笑い”じゃあ。

 怒りは別に平気。

 笑うしかない。

 恐ろしくなって、向こうが帰るき。」


森安さんが山師をやっていらっしゃった時、間違えて他の人の木を切ってしまったことがあります。

切られた人は、血相を変えて怒りを露わにしてきます。

もちろん、わざとではありません。

だから、しっかり「申し訳なかった」と謝ります。

それでも怒りを沈めず、更に、延々と怒ってきます。

木を元に戻したくでも、もう戻すことはできません。

「どうしたものか…」

今自分が言われていることは無理なことを言われているのだと感じ始めます。

考えれば考えるほどに無理なことだと思った時、自然と笑ってしまったそうです。


「わっはっは〜」


すると、怒っていた人の態度が一転。

怒られているのに、笑い出すとは何事か…と逆に森安さんに恐怖を感じ逃げ出したそう。


“笑う門には福来る”

笑うことはおまじないの一つ。


◯インタビューをして

今の状況。

今の環境。

森安さんは、それら全てを

“宿命じゃ〜”

とおっしゃいます。

命を宿す前から決まっていたこと。

変えられないもの。

変わらないもの。

それぞれが感じ、それぞれが抱えるもの。

しかし、これから先、自分がどうなっていくのか!?

どんな結末になっていくかは、誰も知りません。

誰もわかりません。

努力し、環境を自分のものにしていくのも、積み重ねた努力で、状況を一変させていくのも、今の自分が全て選択していっているのです。


誤魔化すのではなく、ちゃんと笑って。

魔がさすことのないくらいに、しっかり笑って。


自らの人生を振り返り宿命を知るその時まで、人生という道を明るく照らすのは自分の笑顔です。


心の筋トレ部

教員であり公認心理師である片野とさとぶーが「心の筋トレ」を実務で実践させていただいています✨皆さんの自己免疫力💪を上げ‼️予病に貢献できるよう、情報発信していきます✨

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