100人のプロの84人目のプロ‼️

「あなたの子は異常です。すぐに検査した方がよろしいかと…」


どんな気持ちでその言葉を受け止めるのだろう。

勧める検査に、我が子の可能性も調べることができるのだろうか!?

子どもの“できない”をメモするペンの先は、心を傷つけるナイフとなり刻み続けます。

年度が変われば別の担任が、我が子のできないを強調。

抗う心は徐々に崩れていきます。

我が子の“できない”を無くそうとやれるまで何度も何度もやらせてみる。

普通の子に。

目立たない子に。

ただ、普通に憧れて。

いつしか見えなくなる子の笑顔。

気づけば無理している自分。

いったい、“異常”とは何だろうか。



「発達障害」


この言葉に苦しんでいる人たちがいます。

切り取られた知識たちが一人歩きをし、偏見となって苦しめます。

吐き出せない悔しさが胸を締めつけます。

できないことだけを取り上げる世界。

個性の時代と叫ばれても、それは外見だけの話。

髪の色やジェンダーレスの服装。

“できない”を異常とする世界に、個性という言葉は虚しく響きます。

でも。

あなたは独りではありません。

同じように苦しんだ人がいます。

「ITのプロ」齋藤秀一さんも“発達障害”を診断された一人。

世の中に馴染めず、多くの辛い思いを経験した齋藤さん。

しかし、その辛さや苦しさが“優しさ”へと変わっていきました。

“できない”は頼る力を鍛え、できる者への感謝に繋がり、やがて人間力へ。

IT企業の社長で「ココトモファーム」の社長でもある齋藤秀一さん。

“できない”を武器に変えた方です。

◯子どもの頃の夢

「発明家」


学校に行きたくない思いが強く、体温計を擦って熱があると言っていた少年時代。

学校には気持ちが向かず、逃げ回る毎日。

夏休みの自由研究では、夏休みの最終日にぐちゃぐちゃと意味のないものを描き、翌日川へ流します。

「転んで画用紙が流れてしまった」

と先生には伝えます。

疑われないよう、画用紙は川から拾い、にじんだ文字で“やった感”を演出します。

学校に行っても、じっと座っていることができません。

話を聞くことは苦手。

ソワソワして、色んなところに注意が向いてしまうのです。

ある日のこと。

何の恋愛感情も抱いていない同級生。

たまたま気になることがあって、その子を見続けることがありました。

すると見られている子は先生に

「齋藤くんがじっと見てきて嫌です」

と告げ口をされてしまいます。

誤解を招いたまま注意を受け、誤解はさらに別の誤解を…。

気づけば独り。

だからといって、誰かに話しかけてほしいわけではありません。

“かわいそう”とか思われるのも嫌で、特に夢中になっているわけでもないキラキラ光る石を拾いに運動場で時間を過ごす。

そんな学校の毎日に、自分の居場所はありません。

休む日は次第に増えていき、授業よりもお父様の書斎にある本から学びを得るように。

本の世界は自由。

海外にだって、宇宙にだって飛び出せます。

固定概念のない世界です。


◯今の仕事に就いたきっかけ

「父からの言葉」


中学生になると徐々に自我がうまれ、周りと比較したり、できない自分を意識したり…。

齋藤さんが中学生の頃はドラマの影響もあり、「ヤンキー」の存在がブームになっていました。

流行に身を任せたヤンキーたち。

目立たないように、関わらないように過ごしていた齋藤さんは、ヤンキーたちに目をつけられてしまいます。

ある日のこと。

中学校でお茶摘みの行事があった日のことです。

みんな現地まで自転車で向かいます。

運動が大の苦手の齋藤さんも自転車で向かいます。

でも、得意ではなかった自転車。

だから補助輪をつけたまま走ります。

しかし、ヤンキーたちにとっては唯一の補助輪付き自転車。

齋藤さんを見過ごすわけがなく、格好の的となってしまいました。

ヤンキーにとっては遊びでも、齋藤さんにとっては悲劇。

ベルトで首を絞められ気絶したこともありました。


学校に行かないことを心配したご家族。

生活改善のためにお祖母様が営んでいた新聞屋さんのアルバイトを勧めます。

お金も手に入るということもあって快諾。

新聞配達は自転車の特訓にもなり、気づけば補助輪が外せるほどまで上達しました。


当時、齋藤さんが夢中になっていたのは“コンピューター”。

アルバイトでコツコツ貯めたお金で、まだ新しかった“ポケットコンピューター”を手に入れます。

数字や記号を使ってオリジナルのゲームを作成。

今はよく耳にするまさに「プログラミング」です。

それをすでに中学生が独学で遊んでいたというから驚きです。

「自分でつくる」という体験と、読書で習慣になった「想像する」という経験が、齋藤さんを夢中にさせました。

英語が苦手らしいのですが、プログラミングで使用するアルファベットを使用した言語については、スラスラと理解が進みます。

中学3年生。

学校ではプログラミングの才能は発掘されず、そのまま高校進学へ。

定期テストも欠席していたこともあり、内申点は低い状態。

「受けてみたい」

と思う高校は受験できず、確実に合格ができる高校を受験し合格します。

努力して掴み取った高校進学ではなかったこともあり、憂うつな気持ちで入学式までを過ごします。

高校に入学後も気分は上がりません。

その高校は避けてきたヤンキーが特に多いことも理由の一つかもしれません。

様々なストレスを溜め込んでいたからか、高校生になると親御さんたちにイライラをぶつけることが増えてしまいました。

物にあたったり、怒鳴ったり、ゲームに逃げる日々。

親への甘えだったと、大人になって気づきますが、自分でもわからない感情がどうにも抑えられません。

努力をしてこなかったことで、大学受験も失敗してしまいます。

満たされない心は遂に幻聴となって自身を苦しめます。

リアルに聞こえてくる自分への暴言。

「気持ち悪い」

「変なやつ」

「生きる価値のないやつ」

耳を塞いでも、聞こえてくる声は頭の中で響き続けます。

全ての解決策がまるで“死”しかないと感じるようになり、次第に死ぬことへの憧れを抱くようになってしまいました。

“どうやって死ねるのか!?”

気づけばそんなことばかり考えてしまいます。


刃物で自分を切ることは怖い…じゃあロープで首をくくって…

「ドンッ」

縛り方が悪かったのか…ロープが細かったのか…


自殺未遂は続きます。

心配したご両親は禅寺へと連れていきます。

自分自身と向き合い、少しでも改善してほしいと願う親心。

しかし、禅寺に修行に来ていた海外の人までもが、英語で自分を罵ってくるように聞こえてしまいました。

苦手な英語が、この時にはよくわかるのです。

禅寺に入って2ヶ月。

脱走してしまいます。

自分の居場所を探すかのように、アルバイト生活を始めます。

働くことに対しての嫌悪感がなかったのは、中学生の頃の新聞配達があったからなのかなと当時を振り返ります。


まず始めたのが人とあまり関わりを持たない鉄工所。

多動な特性上、集中ができず2ヶ月で辞めます。

次に興味を抱いたのはペンションの住み込みのバイト。

しかし灯油を誤って部屋中に撒き散らしてしまいクビ。

その後も飲食店のバイトや、モテたいという不純な気持ちから劇団員のオーディションなど。

その全てがうまくいきませんでした。

みかねたお父様。

ご自分が経営している土木の会社を勧めます。

魅力的なお給料だったため迷わず入社しますが、現場には苦手なタイプの人たちが。

「ヤンキー」です。

しかも学生の頃とは一味違った、強めの社会人バージョンの「ヤンキー」。

それでもバイトを始めます。

もちろん、その会社でもミスを繰り返してしまいます。

ある日のこと。

機械にガソリンを入れるべきところを、間違えて軽油を入れてしまうミスをしてしまいました。

最悪、機械の故障へとつながる大失態。

色々な人たちがその場をカバーしてくれます。

ひと段落した後のご飯の時、苦手なタイプの人があからさまな感じで悪口を言ってきます。

「社長の息子ってなると、大体は大学入れるのに大学入れないなんてな。

 きっと、あいつは“スーパーばか”なんだぜ!」

今まで頭に響いていた悪口とは違い、耳から入る本当の声。

耳を塞げば、声が小さくなって聞こえる本当の悪口。

寝たふりも、聞こえないふりもできない状況に、ただただその言葉が自分の中に入ってきます。

「人生は学歴じゃなない」

と言ってくれていたお父様。

大学へ進学しなかったのは、自分の力不足、忍耐不足だったにも関わらず…

自分のせいで親も悪く言われることに、無性に腹が立ってきます。

怒りはエネルギーとなり

“見返してやりたい”

という感情が生まれます。

その会社は今までにないくらいに長く、2年間も務めることができました。

悔しい気持ちが原動力となって、土木関係の資格をたくさん取得することにつながります。

嫌なことから逃げてきた人生の中で、今までの自分と大きく違う経験。

それは自信へと変わっていきました。


仕事帰りに寄っていたパソコンショップ。

好きなことに没頭して、誰も攻撃したり悪口のない環境。

自分の方がまともではないかと思える環境。

そんな環境に居心地がよく、土木の仕事をやめてパソコンショップに就職します。

好きなことに触れられている幸せが、入社1年目でトップセールスという成果を生み出します。

その成果とタイミングは重なり、2年目にして店長へと抜擢されました。

人前に立つことが苦手だったけど、嬉しかった出来事。

初めて認められた店長を一生懸命に務めます。

店長になり、従業員に指示を出す機会が増えます。

キレイに整頓する店員。

指示を記憶している従業員。

自分の“できない”を、いとも簡単にやってのける仲間たちに尊敬の心が生まれます。

尊敬の気持ちは、感謝の言葉となって店内に溢れます。

気づけば、レジにお金が入らないほどの人気店に。

“スーパーばか”と言われた人物の2年後は“スーパー店長”と言われるようになっていました。

自分が“ダメ”なんじゃなく、“みんながすごいんだ”と思うようになった時、心にはゆとりが。


心にゆとりが生まれた時、常に向き合おうとしてくれていたお父様の言葉が、心に沁みます。

「人生で大切なのは、人からどれだけのことをしてもらうかではなく、

 人にどれだけのことをしてあげられるか」


この言葉が齋藤さんの道標となっていきました。

販売したパソコンの使い方で困っている人に教えていたら、それが事業に。

福祉の仕事の依頼を受けるうちに、福祉事業を立ち上げることに。

様々な方の居場所をつくりたいという思いで「ココトモファーム」が生まれます。


「孤独」という言葉に対義語がない世界で、齋藤さんは皆の「居場所」をつくっていきます。


◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか

「ココトモファームを全国に展開したい」


ココトモファームは

“ココでトモだちになろう”

を合言葉にグルテンフリーバウムクーヘンの製造、販売をする会社です。

バウムクーヘンの材料となるお米も自分たちで栽培しています。

農業が好きな人は農業部隊として。

お菓子作りが得意な人は製造部隊として。

それぞれが自分の持ち味を活かすことのできる職場には、笑顔が溢れています。

“苦手をさせない”ということは、とても効率の良い話だと思うのですが、実現できている会社はとても少ない。

人材不足が叫ばれる中でその不足を補うため、一人に対し無理をさせてしまいます。

経験を積みプライドを持って仕事している人にも、慣れない分野を任せ自信を失わせます。

人材が不足しているだけではないのかもしれません。

一人一人の力を発掘できた時、人財は生かされます。

笑顔で溢れる会社が全国に広がることを切に願います。

◯落ち込んだ時、どう乗り切るか

「誰かに支えてもらう」


齋藤さんが取材された時の動画を見せてくれました。

その際に不意に目に入ったパソコンのデスクトップ。

いくつものアイコンが。

そんな状態で必要なデータを開くのにも時間がかかるのではないかと尋ねると、

「僕は整理整頓が苦手でね。

 こういうのはこうやってやると、機械がさっとやってくれるんだよ。」

やり方を見せてもらいながら、その機能を最大限活用したテクニックに私は驚きました。

整理整頓をしてファイルをまとめているよりも便利な機能。

自分の苦手に気づけている人は、何を補えば良いのかを知っています。

弱点は補えば、強みになるのかもしれません。


◯未来ある子どもたちへのエール

「可能性はすごくたくさんある!

 自分を否定すると見えてこない。

 常に光を見ていけば、世の中はワクワクすることに溢れている。

 社会は楽しいよ。」


高校は人生の中で一番嫌で、一日をとても長く感じていたと話す齋藤さん。

今ならもっと違った学校生活になったとおっしゃいます。

生きづらく感じるものを、充実させるのは自分。

価値のないものを、価値あるものにするのも自分。

他人の決めたものさしで自らを計らず、揺るぎない自分の光を見続けてください。

いつかその光は、また誰かの道標となるはずです。


◯インタビューをして

文化の秋。

各学校で合唱の歌が聞こえてきます。

楽しそうに何度も何度も歌いながら、みんなとの団結心を強めている中、ある生徒はそのみんなの輪に入ろうとしません。

みかねた他の教員が輪に入るよう促します。

日々溜まっていたものがあったようで、生徒は珍しく

「当日は参加しません」

と反発し、そのまま強く叱責されていました。

みんながやれていることを“やらない生徒”という教員のレッテル。

そのレッテルは気づかないうちに態度に表れ、子どもの自尊心をも奪っていきます。

その子が毎朝、植木にボランティアで水やりをしていること。

その子が遅刻してきた子に優しく声をかけていること。

この価値に気づけていない。


進路のために。

成績のために。

数値や表彰で子どもたちの価値が決められます。

そんな世界で、見返りを求めないその子の行動は学校が本来、発掘すべき宝。


学校が一つでも多く子どもたちの“可能性”を発見できる場所だったら…

社会はもっと楽しくになるに違いない。

だから届けたい。

可能性の光を。

プロの方々の言葉を。

心の筋トレ部

教員であり公認心理師である片野とさとぶーが「心の筋トレ」を実務で実践させていただいています✨皆さんの自己免疫力💪を上げ‼️予病に貢献できるよう、情報発信していきます✨

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