100人のプロの18人目からのエール‼️
ず〜っと気になっていた眼鏡屋さんがありました。
実際に伺うことが3年程前に叶ったのですが…
とってもオシャレな外観で、眼鏡もとってもステキで、ついつい「試着をしてみたい!」そう思えるものばかり。
いつ行っても心躍るお店の秘訣は店主Hさんの存在だと思います。
敷居の高そうなお店である一方で、Hさんはとってもオシャレでとっても気さくな方。
今回、インタビューをさせて頂くために3年ぶりに伺いました。
「私にどんな眼鏡が合うと思いますか?」
今思えば唐突な質問で、他力本願的な質問にも関わらず
「ん〜…これとこれかなぁ」
ササッと2本の眼鏡を薦めて下さりそれを試着すると…
と〜ってもステキでした。
あれも、これも…と試着をしてしまったりするのですが、あんなにすぐに「これお願いします」と言った眼鏡は初めてでした。
紛れもない「眼鏡のプロ」Hさんです。
◯子どもの頃の夢
「総理大臣」
今は「夢」と言うと、現実的なものを言わないといけない雰囲気があると仰っていました。
確かに
「夢は何ですか?」
と教師が尋ねた際に
「YouTuberです」
と答えた子どもに
「もっと将来性があるものがいいと思うよ。それでご飯食べていける人なんて、一握りの人しかいないんだから」
なんてまさに「夢のない」ことを言ってしまっているように感じます。
「YouTuber」に将来性がないのではなく、「YouTuber」をよく知らないから言ってしまっている発言なのかもしれません。
10年先も予想し辛い現代において、教師が言う「将来性」とは何なのか!?
そんなことを考えてしまいました。
「夢」は求めていくもので、達成するものではなくって…
達成できるものは
「目標」
と言うのかもしれません。
◯今の仕事に就いたきっかけ
「退屈」という大切な感情
決して変な意味ではありません。
私自身がHさんとお話して感じ、子どもたちに伝えたいと強く思った言葉にしました。
「きっかけを」と言えばHさんを知る方は、
「バックパック」
と仰るかもしれません。
私も最初はそう書かさせていただきました。
しかし、旅行に行けば皆がそうなるのか!?と言われるとそうではないような気がしました。
Hさんならではの感性で、Hさんしかない感情が、大きな大きなエネルギーとなっていったからだと思います。
高校進学の時はいわゆる「受験戦争」が盛んになっているような時代。
特にやりたいことがなかったため普通科の高校へ進学していきます。
大学受験では、一度は浪人をしますが無事に大学へと進学します。
浪人中、北海道へ一人旅をしたそうです。約1ヶ月ほどのノープランでの旅。
夜行列車を活用しながら北海道の各地を周ったそうです。
大学卒業後は特に就職に困ることがなかったと言う事ですが、就職はせずにブラブラと。
いわゆるフリーターです。
周りの方もそういう方が多かったとか…
「自分だけが遅れている?」という焦りはありませんでした。
しばらくして、「何かをしなければ…」という事で、家業の手伝いをするように。
しかし、これまた自分には合わないような気持ちになり、2〜3年やった後お母様に「やめたい」という旨を伝えると、寛容に受け止めてくださったそうです。
お話をしながら、Hさんはその時のご両親の懐の大きさを振り返り、感謝している様子でした。
ただ…
ぼーっと時間を過ごしているのももったいない!ということで、一人旅に行くことになります。
行き先は「ヨーロッパ」。
理由は…
・交通網が整備されていたこと
・オシャレだったこと
・英語だけじゃないこと(ヨーロッパの中で様々な言語が使用されているため)
でした。
パリを軸に色々な所へと線路がつながっています。
北海道の一人旅でもやった、夜行列車に乗って夜を過ごす方法を何度もヨーロッパで実施したそうです。
「世界の歩き方」というガイドブックと電車の「時刻表」を持って。
ヨーロッパ中を巡ります。
時折、趣味の洋服や眼鏡も買ったりして…
節約のためにホテルのフロントで値引き交渉をしたりもしました。
半年の月日が経った頃、所持金が残り僅かに。
同時に遊んでばかりなことに飽きてきたそうです。
普段、私たちは「明日が休み」となるとちょっと幸せな気分になります。
そして「明日から仕事」となると、ちょっと憂鬱(ゆううつ)な気分になったり…。
でも、仕事があるから休みに価値が出てきて、休みがあるからそれを目指して頑張れたりします。
どちらかだけではダメなんでしょうね。
ヨーロッパへの無期限の旅行に「飽き」もあって日本に帰ってきます。
「さすがに何かしないと」という働く意欲から…
「眼鏡屋がいいかも」と思ったそうです。
なぜなのか!?と尋ねると…
特に「〇〇だから」ということはなく、純粋に「好きだから」ということでした。
洋服屋さんは愛知県にも沢山あるけど、オシャレな眼鏡屋さんの数はそこまで多くありません。
眼鏡屋さんを始めるため、ノウハウを学ぶ目的でチェーン店で働き、さらに通信で基礎的な知識を学習しました。
眼鏡のメッカ、ヨーロッパ。
そこの眼鏡をと思っても当時もなかなか手に入れることはできません。
ヨーロッパの各店舗を巡ったからこそ分かる本物の眼鏡を、Hさんは厳選して仕入れていきます。
「仕入れる際に英語でやり取りするんですか?」
と英語が大の苦手な私が尋ねると、
「ある程度、学校で学んできた英語で充分対応はできますよ」
と。
それより何より大切になってくるのは、
「度胸」
だそうです。
独立をしていく準備の際、Hさん自身「やってやるぞ!」というワクワクされた気持ちがありました。
半年間のヨーロッパへの一人旅が進むべき道を照らします。
遊ぶ時はとことん遊ぶ。
待っているご両親にとっては半年間もの期間は長く感じられたと思います。それをジッとHさんを信じ待ち続けることができたのは、ご両親の深い、深い愛なのだと思います。
プロフェッショナルな方のご両親もまた、プロフェッショナルな方でした。
◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか
「農業」
学生の頃、1ヶ月間バイトで農家の所で働いたことがあるそうです。
それは、それは…
とてつもなく大変なお仕事だったそうです。
あまりの忙しさに、血尿が出る程だったとか…
そんな思いをもう一度したい訳ではないのですが…
自分の食べるものを自分で育てるということは魅力的ですよね。
◯落ち込んだ時、どう乗り切るか
「だいたい良いことはないと思っている」
ネガティブな意味ではありません。
「良いこと」を求め過ぎていれば、自分の置かれている状況を冷静に見ることができなくなってしまいます。
小さな喜びや、当たり前という喜びに気づければ、自然と感謝する心が生まれてきます。
「嘆く」のではなく、「喜び」。
そんな意味が込められていました。
◯発達個性を持った子どもたちへのエール
「それぞれ、何かやるべきことはある。
いかに向いていることを見つけるか。
社会との関係性を築けたら良い。」
「お金を稼がなくては」だったり「それ就職に結びつく?」だったり…
それを軸に自分の将来を考えなくても良いのではないでしょうか。
自分の「これ!」と心から思えることをぜひ見つけてもらえればと思います。
お金はその後についてくるものだと思います。
社会に合わせるんじゃなくて、あくまで「関係性」です。適度な距離で社会とやっていく…
そんな「心のゆとり」が持てたら、もっと、もっと未来にワクワクできるのではないでしょうか。
◯インタビューをして
Hさんはそのまま日本で生活することが出来たにも関わらず、敢えて知り合いもいないヨーロッパへ行き「不自由」な環境下に身を置きました。
しかし、Hさんの口からは「不自由」という言葉は一言も出てきませんでした。
むしろその「不自由」さを楽しんでさえもいました。
眼鏡をHさんにつくって頂く際、度が強いことを気にしていた大橋(心の筋トレ部の似顔絵担当)に
「私の方が悪いですよ」
大橋の度数を「むしろ普通のレベルですね」と言って下さいました。
私が「そんなにHさんは悪いんですか?」
と尋ねると、
「悪かったから眼鏡に出会えたんだよ」
ステキな笑顔で応えて下さいました。
「自由」が故の「不自由」さがある一方で、「不自由」の中に無限の「可能性」があることも教えてもらった気がします。
Hさんの「好き」を妥協しない姿は、私たちの光です。
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