100人のプロの23人目からのエール‼️
私の家の行事で兄がお手伝いのお願いをした時、快く引き受けて下さってから10年くらいのお付き合いになるKさん。
いつも「君」で呼ばせてもらっていますが、今日はインタビューをさせて頂くので「さん」を付けてお話しします。
「会計士のプロ」Kさん。
会計士になる前から交流がありました。
とても優しく、どんなことにも興味を持って真剣に話を聞いて下さいます。
ご両親も士業をされていて、まさにサラブレット。
「会計士になるために勉強しているんだよ」と兄に紹介された時は、「こう言う方がなっていくんだなぁ」と納得したことを覚えています。
私がイメージしていたKさん。
今回のインタビューを通してより一層の魅力を感じました。
◯子どもの頃の夢
「幼稚園の頃は新幹線の運転手。それ以降はなかったなぁ」
中学・高校の時は野球少年で、常に野球に没頭していたとか。
ご両親からは「勉強もしなさい」と言われていたみたいです。
それに対して…
素直に
「はい。今からやってきます」
そんな返事をするKさん。
私のイメージはそうでした。
しかし実際は…
「うるせー!」
「死ねー!」
などの暴言。
…
え!?
そんな時があったの!?
…
とても驚きました。
とっても穏やかで、とっても優しい口調のKさんなのに、大学生くらいまでは反抗期まっしぐら。
家の扉という扉は穴が空いていたらしく、3兄弟いたとは言え、穴の8割はKさんの仕業でした。
直接言えないことは物にあたるということをしていたらしく、その姿にお母様は涙したことが何度もあるそうで…
それを知ると激しい後悔がKさんを襲っていました。
Kさんの何がそこまで反発していたのか!?
今、振り返れば…
「資格は大切だよ」とご両親に言われたり、
「この子が継ぎます」とお父様が来るお客さん、来るお客さんに伝え、挨拶をさせられていたことが、子どもの頃からとっても嫌だったみたいです。
「何で人生を決められないといけないのか!?」
その思いが胸にあり続けていました。
◯今の仕事に就いたきっかけ
「お父様の背中」
そこまで反発していたにも関わらず、なぜ今2代目としてお父様とお仕事しているのか!?
私立の高校へ進学したのだから、そのまま大学も。
そうはなりませんでした。
自分の人生を自分以外に決められたくないと言う思いは強くなっていきます。
しかしながら「これをやりたい!」と言うのもなく、せっかくなら誰が聞いても「すごいね」と言うような大学を目指します。
それが「中央大学」の法学部。
そうして迎えた大学受験。
一度目は不合格で終わってしまいます。
もう一度挑戦するため浪人生へ。しかし2回目も不合格。
滑り止めで受けた大学も全て落ちてしまいました。
仕方なく…母校の私立の流れに乗り同じ系列の大学へ。
学部は「経営学部」。
愛知県の人なら誰もが知っているような有名で優秀な大学です。
その大学を第一希望にしていく人も多く、私自身羨ましいと感じる大学です。
私立の流れと言えども、さぞ楽しいキャンパスライフを味わっているのだろう…
…
Kさんはその大学をもう少しと言うところで退学します。
大学も入学はしたもののほとんど出席をしていなかったとか…。
2つ下の子たちが自分と同級生。
受験への挑戦は失敗に終わる。
自分自身が嫌だったそうです。
大学入学していてもほとんどをバイトで過ごし、当時お付き合いしていた方の家に転がり込み、半同棲生活。
自分の人生に関して何一つ面白みを感じていなかったと言います。
そんなある日のことです。
お父様の会計事務所では繁忙期となり、Kさんへバイトしないかと提案があったそうです。
特に何かノウハウがいる訳でもなく、とても大切なのですが、ただ目の前の数字を入力すると言う単純な仕事。
誰でもできる仕事。
Kさんはお父様のお仕事のバイトをしながら、お父様のお仕事について知っていきます。
日曜日のお昼過ぎのことでしょうか。
事務所としては休日なのですが、お父様を頼って一人の男性が相談に来ました。
その男性を見ると表情は暗く、何も発しなくても困っていることが明らかで。
Kさんは数字の入力を続けます。
時折、漏れ聞こえるお父様とお客さんの声。
数時間話した後に会議室から二人が出てきました。
お見送りのためにKさんも立ちます。
ふとお客さんの表情を見ると、来た時の様子とは全く違い、穏やかな表情をして帰っていきました。
お父様のお仕事は数字と向き合うのではなく、人と向き合い、物言わぬ数字だからこそ、人の心を大切にしていました。
そのことに気づけた時、自分を振り返ります。
やりたい事も見つからず、ただただ一日を過ごしているだけの自分を。
だから大学をやめたんです。
「なりたい」ものというより、「やっていたい」ことを見つけられたから。
でも、まだ少しだけお父様への反抗期が残っていました。
お父様が税理士なら、もっと大きな仕事ができる「公認会計士」になろうと思います。
実際は税理士の方が下とか、公認会計士が上と言うことありません。
でも当時は「ちょっとでも!」と思っていましたし、それに…
「2浪した自分」
「第一志望ではなく滑り止めに身を置いている自分」
そんな嫌だと感じていた自分が背中を押してくれました。
公認会計士がどれだけ難易度の高い資格なのかは兄の税理士に向けた努力を見ていたので分かります。
猛勉強が必要とされる試験に見事合格します。
大学に入れなかったのではなく、入る意味を見出せなかったのかもしれません。
大学生くらいの時に
「自分はつまらない人間だなぁ」
と思っていたそうです。
出会う人出会う人…みんな個性豊かで自分を持っていて、人間力のある方たちを前に自分自身はなんて個性のない人間だなと。
それは現在も同じ感覚らしいのですが…
今現在2代目としてお父様の事務所で働いていらっしゃいます。
「継ぐ」
と言う言葉はお二人の間では全く出てこなかったのに。
お父様は「いつ長野から戻ってくるんだ?」
この言葉への返事が2代目Kさんの始まりなのかも知れません。
◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか
「同じ仕事。会計士」
・数字遊びが好き
・お客さんのお話を聞く方が自分には合っている
この理由で他の職種は思い浮かびませんでした。
お父様のお仕事を手伝っていなかったら、自分で「これしかない」と思える職種に出会えていなかったかも知れません。
どこにどんな人生の道標があるのか!?分からないから面白い。
◯落ち込んだ時、どう乗り切るか
「お酒を飲む」
Kさんのお酒の飲みっぷりは、一緒に食事をしている私たちも気持ちよくなります。
お酒を楽しんでいるから私たちはそう感じるのだと思います。
そんなKさんはお仕事で落ち込んだことが2回だけあったそうです。
合格後、実務経験を積むために長野の会計事務所へ就職しました。
その事務所で「報(報告)・連(連絡)・相(相談)」を怠ったことによるミスで所長に
「もう明日からは来なくていいよ」
と言われたことがあったそうです。
その時は流石に落ち込んだとおっしゃっていました。
上司にはそういう時はどうしたらいいのか!?アドバイスをもらい次の日も出勤します。
すると…
「なんでここにいるの?」
所長の攻撃は止みません。
この時のことを今、振り返っても反省をしているとおっしゃっていました。
しかも、2回とも同じような内容。
…
私は不思議でした。
なぜ…
Kさんの心はすこぶる健康なのか!?
長野の所長に言われたことを未だ忘れず振り返り、自分自身を「つまらない人間」と捉え、周りに褒められても「いやいや。父より大した人じゃないから」「いやいや。所長に比べれば」と周りの評価を自分のモチベーションへと変えていません。
…
私はさらに不思議に感じました。
そこまで落ち込んだにも関わらず、同じようなことをなぜ繰り返すのか!?
…
就職して同期や少し上の先輩と自分を比較することは一般的ですが、なかなかその会社のトップと自分を比較したりはしません。
お父様に対しても、尊敬の念を抱きながら「ライバル心」を沸々と煮えたぎらせているような勢いを感じました。
…
そう言えば、自信がないように話していても、自分を悲観することはありませんでした。
多分…
無自覚の自信がKさんにはあるのだと思います。
「自分の力はこんなもんじゃない」
これは自分に対して全てを「肯定」していく自己肯定ではなく、Kさんは自分を絶対的に信頼しているのだと思います。
常に自分自身と向き合ってきたからこそ、自分を信頼することができます。
私はようやくKさんの答えて頂いた全てのインタビューがつながってきました。
◯発達個性を持った子どもたちへのエール
「メッセージねぇ…
何を伝えよう…
ちょっと待ってね。
…
全然これしか浮かばない。
『いつも感謝は忘れずに』。 」
「感謝を口に出して言うのはずっとやらないと、と思ってやってきた唯一のこと。
この言葉さえ言えたら何とかなる」
Kさんの中でずっと続けてきたことは人としての当たり前のこと。
でありながら、なかなか言えなくなってくる言葉。
当たり前だから続けることが難しいその言葉。
「ちょっと待ってね」と言った後、しばらく目をつぶってじっくり考えて下さった、Kさんの力強いエールです。
◯インタビューをして
保護者の方の中には子どもの反抗期に悩まれている方が多くおります。
Kさんは「僕の話なんかが誰かのためになりますかね」
とおっしゃいましたが、私は断言します。
悩まれている方にとっては、Kさんは希望の光。
どんな声かけがいいのか。
何をしてあげればいいのか。
人それぞれで違います。
何が正解かは分かりませんが、ご両親が真剣に向き合っていった結果、必ずご両親の気持ちは伝わっていきます。
終わらない反抗期はありません。
思う存分反抗期を過ごしたKさん。
そのKさんがご兄弟の中で一番、ご両親のそばにいます。
そして、お父様の事務所を継いでいきます。
「自分のやり方は〜」
と自分のイデオロギーを後継者として押し付けるのではなく、自分の持ち味である
「聞き役」
と言う才能を上手くハイブリットさせながら新たな事務所となっていきます。
偉大なお父様の後というプレッシャーの中で、敢えて自分の身を置くことを決意することができるのは、自分自身への信頼と無自覚の自信が根底にあるからなのだと感じました。
毎年、Kさんの強さは感じていましたが、今回少しだけその理由を知れたような気がしました。
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