100人のプロの33人目のプロ‼️

私は大学生で坊主にしました。

以来、美容院と言う場所に行かなくなりまして…

坊主にした理由は、大学生ながら「ちょっと天骨が薄いのかなぁ」となりまして…

一層のこと、刈り上げてしまおうと思い、今に至ります。

若い時は先輩にハゲをいじられ…

そのいじりに抵抗感がつき始めたと同時に、自虐ネタに使ってみたりしていました。

自虐ネタとして使用すると、大体周りの人たちは

「ネタにしていいのか〜」

と、同じように言ってくる人がいたり…

そんな状況に慣れがあった私。


本日のプロフェッショナルの方は「美容師のプロ」Yさん。

Yさんに初めて会う際、自己紹介がてら

「私の頭はこんな感じなので、美容院にはなかなか来ないんですが…」

と話すと皆さんは笑ったり、一言いじってみたり…

逆に「全然そんなことないですよ」とフォローになっていないフォローをして下さったり…

大体の予想はついていました。

しかしYさんは、違いました。

何とも言いようのない絶妙な返し。

自虐ネタは正直好きではないのですが、自分を守るため。

「何で美容院に来ているんだ」と思われたら嫌な思いをするだろうから、そうならないための防御策。

Yさんの返しは、そんな私の余計な防衛をほどいてくれました。

「気にしなくてもいい」

そう素直に感じられるYさんの対応に、深い深い優しさを感じます。


◯子どもの頃の夢

「サッカー日本代表」


Yさんの子どもの頃は『キャプテン翼』が流行っていたそうで。

だから「日本代表」に憧れたのかもしれないとおっしゃっていましたが…

私の執拗な問いかけに対し控えめな表現で

「一応、高校へはサッカーで進学できました」

と、サッカーの実力を垣間見ることができました。

Yさんは、ご自分のことを

「すごい」

「優秀」

そんな表現を用いません。


『能ある鷹は爪を隠す』


昔からよく言われている言葉ですが、、、

自分自身で納得しているから、広く共有せずとも満ち足りていて…

「あの人が言ったから」

「この人が言ってくれたから」

「あの人が認めたから」

「この人が認めてくれたから」

そういうのではなく、自分自身で合格点をあげられるかどうか!?

そこは誤魔化しても誤魔化しきれない重要な所。

Yさんはそう言った意味で、自分との対話を大事にされている方なのかも知れません。


◯今の仕事に就いたきっかけ

「ロックバンド」


「Yさんにとって名古屋が終着点ですか?」

東京にも進出したいと考えているのか気になり、何気なく尋ねた私に

「終着点って…何ですかね?」

そんな返しを想定していなかった私は、考えを絞り出しながら

「ずっと名古屋で勝負していたいと思っているのですか?」

違った表現で尋ねてみました。

Yさんは私が考えている時も同じように考え、自分を正確に表現できる言葉を丁寧に発して下さいます。

「今、やりたいことは『美容師』。

やりたいことをやりたい場所で、やっている感じかな」

だから「美容師」がゴールでもなく、終わりでもなく。

それは学生時代も一緒でした。

学生の頃はとにかくサッカー。

しかし、他にもやりたいことができれば、その「やりたいこと」に挑戦します。

その一つに「音楽」がありました。

中でも「ロック」。

もともとロンドンのファッションや音楽に興味のあったYさん。

興味のあることをあるままにせず、挑戦してみます。

バンドの演奏時の髪型は自分でセット。

それを見た仲間たちもYさんにやってもらいます。

気づけばバンドメンバーの髪のセットはいつもYさんが。

Yさんはセットされて嬉しそうにしている仲間たちの表情を見ると、自分も喜びを感じていました。

「人の役に立たない自分は嫌」

そう言葉にしたYさんの過去も、ブレることなく誰かのためになることを喜んで行っていました。


親御さんはサッカーの経験を活かして、体育教師になるものとばかり思っていたのですが…

Yさんが選んだ将来は「美容師」。

特に強い信念があったわけではありません。

その時に興味があったものが「美容師」だったから。

ただそれを選択したのです。

美容師になるためには実務経験が必要になってくるのですが…

実務経験を積むために、美容師専門学校卒業時には就職の面接の場が設けられます。

学校には各サロンから人材確保のために人事担当者が来ます。

面接が行われ、内定をもらう仲間たちがいる中、Yさんを必要とするサロンはなかなか出てきません。

何故なら…

2年で絶対に「辞める」と公言していたからです。

辞める!?

理由は、全ての憧れが詰まっている

「ロンドン」

へ行って挑戦したかったから。


目の前の問題を乗り越えるために「嘘」をつけばいい話。

面接する相手を取り敢えずで誤魔化せば済む話。


Yさんはそれをしませんでした。

自分のやりたいことを「嘘」や「誤魔化し」で汚しません。

信念を貫き、正しいと思うことを真っ直ぐに。

そういった姿勢をちゃんと理解する人が現れます。

真っ直ぐなYさんを、面接に来ていた一人のオーナーさんがちゃんと分かってくれていました。

誰もみていない。

誰も知るはずがない。

自分の努力に気づく人なんていない。

それは決してありません。

自分の善き行いや努力は、誰かがちゃんとみています。

分かる人にちゃんと分かってもらえます。

Yさんの志を理解してくれたサロンでYさんは就職します。


就職してからも目標のために必死になって練習します。

誰も知らない街に2年後には必ず行き、働くことになるわけです。

しっかり腕を磨きます。

プレッシャーや、不安ではなく、期待だけを胸に。


今では「働き方改革」と言われ、頑張らないことを美徳とするような風潮がありますが、やはり一生懸命に頑張る姿はかっこいい。

サッカーワールドカップの日本代表に皆が心躍るのは、そうした絶え間ない本気の練習、見えない所での努力が容易に想像できるからではないでしょうか。

Yさんもひたすら練習します。

練習したいからするのです。

明けても暮れても練習。

そんな人が周りに一人でもいたら、普通にやっている人は頑張っている人より「怠けている」と思われてしまうかも知れません。

だから、Yさんを「普通」に引きずり下ろそうと陰口を言ってみたり、様々なことを試みます。

Yさんは陰口を言われる事は好きではありません。

当たり前です。

誰だって言われたい訳ではありません。

でも…

自分に合格点をあげるために夢中で、誰が何を言っているのかを気にするゆとりなんかはありませんでした。

もし…気になっていたのなら、まだ本気の努力ではないのかもしれません。


努力はチャンスへと変わっていきます。

努力は確かな技術へと進化していきます。

見習いでありながら、お客さんを任せてもらうチャンスが増え、多くの経験を積んでいきました。

お客さんは髪を切るプロではありません。

しかし、髪を切られるプロです。

チャンスを与えられても、そこに確かな技術がなければ次へのチャンスへと繋がってはいきません。

経験を積めたということは、そういうことなのです。


2年後、計画通りロンドンへ。

しっかりとした技術を身に付けロンドンへ。

英語が堪能という訳ではなかったのですが、生活をしていく上で必要となる語学は、生きるために徐々に身についていきます。


職場の仲間が

「バニラシェイクを買ってきてくれ」

と。

Yさんがマクドナルドへ自分の昼食とバニラシェイクを買いに行きます。

買ってきたものを仲間に渡します。

しかし、仲間は文句を言ってきます。

頼んだものを買ってきていないと。

次の日も、次の日も…。

同じものを注文しているはずなのに、文句を言われます。

それもそのはず…

仲間に渡していたのは

「バナナシェイク」

だったから。

「バニラ」を日本語っぽく発音してしまうと英語圏では「バナナ」と聞こえるそうで…。

そんなロンドンの生活にも少しずつ慣れてきた頃…

憧れのロックバンドのライブを告知するポスターに目が止まります。


観に行きたい!


自分の興奮に気付かされます。

憧れていたバンドのライブを生で。

近くで感じられる場所に。

そしてラッキーなことに話をするチャンスが。

Yさんには特技があります。

自信を持って「美容師やっています」と言える経験や練習をしてきています。

もちろん、上へ上へと言う向上心は冷めることなく熱いまま。

その「自信」が憧れのバンドの髪をセットする更なるチャンスへと導きます。


「美容師」は、憧れの人と肩を並べることができる自分自身の武器。

バンドマンであったのなら掴むことができなかったかもしれないチャンス。

自分の武器が憧れの人のためにしてあげられることに。

色んな人たちを笑顔にすることができる武器に。

その可能性に気付かされた時、Yさんの美容師としての道が明るく照らされ始めました。


◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか

「人のためになるなら何でもいい」


この言葉にまとめられるまでにいくつかの考えを巡らせました。

自分が病気になったり、周りの人たちで病気になったりすれば、

「自分が医師だったら…」

と思ったり、人間関係でのトラブルを聞けば、

「自分が弁護士だったら…」

と思うそうです。

様々な職業へ意識が向きますが、軸となっているのは常に

「誰かのため」

自己満足で終わらせず、他者満足を追い求めるYさんならではの答えでした。


◯落ち込んだ時、どう乗り切るか

「どうしようもないことは、人生の中でほとんど起きない」


落ち込む際の原因は様々ありますが…

どうしようもないことの方が尾を引く、と話してくださいましたが、その

「どうしようもないこと」

は人生の中でほとんどないとYさんはおっしゃいました。

どうにか防げたこと。

ちょっとの努力で変化できたこと。

そういうことが大半です。

だからこそ、未来の自分が困らないために「今」やれること、やるべきことを一つ一つ確実に取り組みます。

それがなかなか難しいのですが…

「今日」という日が乗り越えられたのは、昨日の自分や一昨日の自分がちゃんとやるべきことをやってくれていたから!

そんなふうに考えると、もう既に未来の自分のためにやれていることは沢山あるのかもしれません。


◯発達個性を持った子どもたちへのエール

「素直ないい子だと思う。

 自分のやりたいように。

 自分の持ち味を生かしてほしい」


Yさんは子どもの頃、お坊さんに

「悪いことしようとしていても神様が止めてくれるから大丈夫」

と話して頂いたそうです。

その言葉はYさんの胸にずっとあり…

自分の背中を押してくれる言葉になったり、自制する言葉にもなったり。

だから安心して一歩を踏み出せます。

何が向いているのか!?

何に向いているのか!?

まだ分からないから興味もったことに挑戦してみる。

挑戦するとその分、知ることが増えてきます。

挑戦して、自分を知って、自分の持ち味に気づく。

持ち味を!ぜひ探してみて下さい。


◯インタビューをして

野菜が苦手なあの人のために、野菜を細かく切ったり。

魚好きのあの人のために、臭みを取るため水洗いを丁寧にしたり。

美味しい料理を食べてもらうために心を込めて下ごしらえをします。

こだわりというのはそう言った基本的な準備の段階から出てきます。


はしご酒を楽しむ人たちが2軒目の居酒屋に集まりだしている時間帯。

ほうきで床を掃いている姿が、私にとって初めてのYさんの姿でした。

従業員の方と共に掃除。

「掃除はみんなやること」

「タオルひとつ臭くても、自分が掃除しなければ気づくことができません」

そうYさんはおっしゃいます。

どんな分野においても基本は重要。

トイレを誰よりも磨くYさん。

それは、朝一番で来てくださったお客さんが、まずトイレに行った際、朝から嫌な思いにならないように。

お客さんの笑顔のために。

髪をカットするだけではなく、笑顔になり笑顔で戻ってきてもらうための努力を何ひとつ妥協することはありません。

Yさんの「美容師」としての心は、常にお客様の「笑顔」のため。

私の自虐ネタで「笑い」を取るのではなく、みんなを笑顔にさせるプロのこだわりを味わうことができました。


心の筋トレ部

教員であり公認心理師である片野とさとぶーが「心の筋トレ」を実務で実践させていただいています✨皆さんの自己免疫力💪を上げ‼️予病に貢献できるよう、情報発信していきます✨

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