100人のプロの56人目のプロ‼️
犬をお迎えして、大変ながらも笑顔あふれる、充実した毎日を過ごさせて頂いています。
自然に今まですれ違っても挨拶をしなかった人と
「こんにちは」
と声を発し、自然と相手も「こんにちは」と返してくるように。
動物の力はすごい!
それを強く感じる今日この頃。
愛犬と共に散歩していると、自然と笑顔で過ごしています。
私はきっと、笑顔でいる時間が増えているのかもしれません。
少し前のデータにはなりますが…
2016年のペット飼育率で見た日本は22カ国中20位。
国民の37%の人しか飼っていないそうです。
「ペット」というのは「犬」「猫」「魚」「鳥」などを含めた生き物です。
様々なデータによって差はありますし、年代によっても異なりますので、一概に
「日本は〜」
ということは言えませんが…
少なくとも、日本でペットを飼っている人は少ないということ。
「ペットを飼っている人は飼っていない人より、年間20%前後病院に行く回数が減った(引用:日本アニマルセラピー協会)」
といわれていることから考えると、日本のペット飼育率が低いというものは、健康寿命の観点からも真剣に考える必要があるのかもしれません。
もしかしたら…
「水族館」や「動物園」は、ペット飼育率の低い日本にとって、健康寿命を上げる重要な役割を担っているのかもしれません。
という訳で、今回は「水族館のプロ」Iさんにインタビューさせて頂きました。
Iさんは水族館を「命の学校」だと感じておられます。
◯子どもの頃の夢
「魚が見れたらよかった」
お祖父様は、Iさんをよく川に連れて行ってくれたそうです。
その川遊びがきっけで「魚」に興味を持つようになっていきました。
誕生日プレゼントには「生き物図鑑」をプレゼントしてもらい、「魚」への興味が増していきます。
興味から好奇心へ。好奇心から探究心へ。
「どうぶつ奇想天外」で動物たちと関わる仕事に「飼育員さん」の存在を知ります。
それから「飼育員さん」を志していくようになっていきます。
まさに夢を叶えた方。
◯今の仕事に就いたきっかけ
「見るだけでなく、体験できるところ」
各都道府県に水族館がある日本。
世界でもトップクラスの水族館数です。
その一方で、水族館への就職はとてつもない倍率。
水産系の大学や水産高校が近道とされている他、ドルフィントレーナーの専門学校出身の方も多く、中には工業系・商業系の高校から進路変更して目指し始める方もいます。
また少数ですが、全く違う職業で数年活躍したのち、転職して飼育員になる方もいます。
様々な個性を持つ飼育員が集まる水族館ですが、どの方にも共通しているのは
「海の生物への情熱」
です。
Iさんは海洋関係の大学へ進学しました。
その大学でお世話になった先生から、授業で意見を述べる時やレポートで文章を作成する時には必ず
「根拠」
を求められました。
本当にそうなのか!?
それは正しいのか!?
生き物を扱う立場として、それはとても大切なノウハウ。
飼育員になった今も、大切な習慣になっています。
人間の言葉が話せない動物たちにとって、人間の行為は命に関わっていきます。
事実とされていることは、魚たちに直接尋ねたわけではありません。
人間が予想して「そうであろう」とした事実でしかありません。
飼育員になって、知っていたはずのことでも、その通りにはいかないことばかり。
ペンギンはこう!
イルカはこう!
カメはこう!
頭ごなしに決めて。
人間の言うことは正しいと思い込んで。
そんなふうにおごりを持って接していてはいけないのだと、自然と気付かされます。
経験を積みながらも常に新しい発見で、命の尊さを感じていきます。
たまに地元漁師の方から連絡が入り、
「珍しいものが網にかかったから見においで」
と教えて頂いきます。
その連絡にはやはり胸が高鳴ります。
実際に伺い、経験を積まれているIさんであっても見たことのない生物と遭遇します。
「リュウグウノツカイ」。
3m〜5mの深海魚。
愛知の海にもいたのだと、新たな発見に。
その他にも、大きいものでは4mにもなる「オナガウツボ」も見させてもらったりします。
枕元に図鑑を置き、眺めながら過ごしていた頃とは違い、珍しい生き物たちを生で見る機会に、水族館の飼育員としてのやりがいを感じます。
そのやりがいは、
「より多くの人たちに、生命の神秘や、大切さを気付いてほしい」
そんな想いになっていきます。
大学で教員免許を取得し、教員としての道に進もうとした時もありました。
それでもずっと好きだった海の生物の飼育員を目指し、そして突き進みます。
海の生物の魅力を、より感じられる場所で。
見るだけでは魅力に気づけても魅了されることは難しい。
触れ合うから愛着が湧き、目が合うからワクワクします。
体験して、触れ合って…
自然界ではまず不可能なこと。
でも水族館では…。
海の生き物をより身近に、より神秘的に感じられる。
それがIさんがこの水族館を選んだ理由です。
◯今、自由に選べるとしたら何の仕事をしてみたいか
「海の生き物に携わる仕事」
飼育員として1年を振り返った時、自分自身ができたことは何か!?と考えます。
多くの小学生が遠足で来るそうですが、「命の尊さ」をちゃんと伝えられているのかと自問自答します。
「もっと時間があったら…」
「もっと伝えられるのに…。」
そんな歯痒さを感じ、
「何かできないか…」
「もっとできないか…」
高校の理科の教員免許を持っているIさん。
飼育員としてそんな壁にぶつかった時、学校の先生になろうと考えたこともあったそうです。
先生なら、1年間の授業を通して「命の尊さ」を伝えられるのではないか。
恩師の先生からも、先生になることを勧められたこともありました。
それでも変わらず、「海の生き物に携わる仕事」を続けられたのは、お客さんの存在です。
結婚されたご夫婦が、「小学生の頃に来ていた思い出の地だから」と、式の撮影のために訪れます。
また、別のご夫婦は「私たちが子どもの頃に楽しみに来ていたので」と子どもを連れてきます。
数ある思い出の地の中でも選んで来てくれる喜び。
自分たちの大切な瞬間を思い出の地で過ごすお客さんに、Iさんは感慨深く感じます。
「命の尊さ」
確実に伝わっています。
◯落ち込んだ時、どう乗り切るか
「プロの技」
いつ行っても活気があって、プライドを持って活躍している方がいます。
元気な声で出迎え、丁寧に「ありがとうございました」と送り出してくれるラーメン屋さん。
陰で様々な努力をしていても、それを表に出さず、常に笑顔で歌って踊るアイドルの方。
そんなプロの方々の「やる気」に、
「頑張ろう!」
と感じさせてもらえるそうです。
自分のこだわりが、誰かの背中を押す力になっていたり。
沈んだ心を引き上げていたり。
自分のためにやっている行為が、誰かのためになっています。
自分は気づかなくても。
◯発達個性を持った子どもたちへのエール
「人は色んなところで個性が出せる。
突き詰めていくと、個性になる。
他の人、動物を損得なく助けられる人であってほしい。
それは人ならではの個性だから」
自分の個性なんて何もない。
そんなふうに言う子どもがいます。
個性を個性と気づいていない子どもたち。
同じように見える魚でも、餌やりを続けていれば、一匹一匹で違いがあることに気づきます。
餌を決まって早く食べに来る子。
移動させる際の網に全く捕まらない子。
魚たちにとってその個性は「生きる力」です。
周りと同じになろうとせず、自分の個性に気づいてほしい。
それが自分の力となっていきます。
◯インタビューをして
こちらの水族館では、イルカを外の大きな水槽で見ることができます。
私が行ったその日、水槽の小窓を除くと、4頭のイルカが寄って来てくれました。
まるで自分がダイバーになって、海の中を見渡しているような体験。
しばらく眺めていると、1頭のイルカが私たちの前におもちゃを持って来てくれました。
目の前で離したり、咥えたり。
私の存在を分かって、私と遊ぼうとしてくれているような。
ほんの数分の出来事。
でも私には大切な癒しの時間。
私のことをもしかしたら覚えてくれていたのかもしれない。
私が小学生の頃に遠足で来てましたから。
目の前のイルカは30歳。
私が小学生の頃には、すでにこの水族館で泳いでいました。
そんな空想に浸っていた幸せな時間。
コミュニケーションは言葉を交わすだけではないことを、動物たちに教えられます。
文字によるコミュニケーションが増えてきている現代において、私よりもイルカの方が能力が高かったのではないかと感じます。
言葉がわからないから、相手の気持ちになって様々な考えを巡らせます。
イルカの表現を見て、想像します。
どんな授業よりも、どんな先生よりも、一番「思考力」を求められているのかもしれません。
私はIさんが水族館を「命の学校」とおっしゃった意味を噛み締めました。
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